unity1week ゆるふわ共有会 レポート
主催者(さめみず(@samemizu)さん)の思い付きで始まった突発共有会のレポート。
9/19に企画(思い付き)されたにも関わらず濃い内容でした。
1回のトークが長め(Max30分)なので、今回はいくつか観点を拾って私の分析を書くレポート形式でまとめてみました。
※目次は「登壇者 / タイトル」の形式になります。
※登壇者名は敬称略とさせて頂いております。
※各登壇者のゲームリンク先はunityroomになっています。
※掲載内容に不備、又は掲載自体へのご意見がありましたら対応いたします。
※注意:本記事を書いている人はゲーム開発に関して素人です。割と勝手気ままな考えを書いていますので、内容に関してはご自身で判断をお願いします。
さめみず / 海外進出と楽しさ1位の取り方を真面目に考える
unity1weekで作成したゲーム「のびのび」が海外でも取り上げられたことと、楽しさランキングで1位を取ったことからのお話。
私がそれぞれに関してポイントと思ったのは以下の内容である。
海外進出の話
きっかけは運。ただし運を結果にするには土壌が必要である。
外から見ている限りでは、次の土壌が作用していたと思われる。
- コミュニティ
本人(さめみずさん)も認めている通り、unity1weekに関係する人のTweetがバズり、海外からの注目を惹いたことが発端の様子。「良い」と思ったものを紹介する。それが誰かの目に留まる。そして新しい繋がりが生まれる。
今回の流れは、そのような理想的な関係性から始まったことのように思う。 - ゲーム性
発表では「視覚的に分かりやすい」「操作も簡単」「言語をほぼ必要としていない」などを要因に挙げていた。さらっと言葉にあったが、「説明を読むよりもぱっとプレイして分かる」が特に重要に思う。
個人的な分析を簡単に書くなら、のびのびの要素は
・プレイヤーの目的→「ゴールにたどり着く」
・プレイヤーの手段→「移動」「押す」
・ゲームのギミック→「くっつく」「引っかかる」
目的と手段は多くのゲームに共通で、これらはすぐに理解されると思う。そして要のギミックが特有のルールになるが、ブロックのモチーフをゼリーのような見た目にしたことで、"何となくくっつきそう"という連想を呼び、直感的に理解されたのではないか。
無論、見た目からの「面白そう」や実際プレイした感じの「面白い」にも要素はあると思うが、文化の違う集団にアプローチする部分に効いた要素としては、上記の側面が大きかったのではないかと思う。 - 勢い
海外からのコンタクトなので、コミュニケーションは当然英語になる。大事なのはそこで物怖じせず、調べたり相談したりして、不明な部分をきれいにしたら飛びつくこと。
楽しさ1位の話
始めに、ランキングは相対評価であり、1位を取れるかはその時次第でもあるので、あまり強く意識しないでやろうぜ、という発表の締めであることを記載して、以下に考察を書く。
楽しさ1位を狙って取るのは難しい(てか無理)という結論だったが、実際その通りだと感じている。さりげなく過去記事の補足で言及していたが、「楽しさ」はそれ単体で存在する感覚ではないと考えるからだ。「絵柄」であったり「音」だったり「操作感」だったり、様々な要素が関係してくる。つまり、プレイヤーが「楽しさ」にたどり着くまでの壁は多いのだ。
作り手としては「楽しさ」を意識するのを前提として、そこまでの壁をどのように認識して、如何に取り除くかが重要となる。
ぱっと思いつく方法としては、こんなところだろうか。
- 認識→自分ひとりの感覚では限界があるので、やっぱり他人の感覚も必要。モックを素早く作って、公開して、リアクションを得るという部分はここのことを言っているように思う。
- 取り除く→細部まで丁寧にこだわる。視覚(色、形、動き)、聴覚(BGM、操作に伴うSE)、触覚(操作感)など。(触覚はやや強引か?)
まっともぉん / 楽しさ1位の倒し方
遅刻組ながらも楽しさランキングで1位を奪った「フエルロワイヤル」のこだわったポイントについてのお話+ハンズオン。発表自体が細かい要素まで説明されてて、分析とか挟む余地がなかった。なので、「なぜそれが必要なの?」と仮想質問を立てて、回答を探ってみる。
「画面を静止させない」について
割とよく言われている気がするが、なぜ「静止させないと良い」のかを考える。
はっきりとした答えが浮かばなかったが、2つほど可能性に思い当たった。
- 気の紛らわし(プレイヤーの飽き防止)
パズルではよくある場面として、分からない問題で考え込んだ時に、ゲーム自体に何も変化が起きない場合がある。プレイヤーは思考に集中して操作をしていないので当然だが、変化のない状態は(ゲームに限らず)飽きを誘発する。それを抑止する目的で、画面内に動きを加えるというアプローチである。
私個人の感覚としては、画面の動きはそれだけでも賑やかしにはなるが物足りなさもある。一方で、パズル以外の部分(横に立っているキャラクター等)で操作に対するリアクションがあると、ゲームへの集中がより持続すると感じている。 - 意図的に注意を反らす(プレイヤーへの揺さぶり)
物事に集中すると思考の範囲が狭まる、という感覚がある。プログラムでバグが取れないときは一晩寝ると解決するとか、風呂場でアイデアが思いついて飛び出すとか、実情はともかくそのような話が絶えないのは、行き詰ったときに一度集中を解くと突破口が現れたりするからではないだろうか。
画面内に動きをつけることで、パズルに集中するプレイヤーに揺さぶりをかける。問題なくパズルを解いていると気にならないが、詰まったときにその動きが目に付く。そして行き詰った解法を忘れた頃に、突然新たなアプローチが浮かぶ。この流れはさすがに都合が良すぎるが、手ごろな注意反らしの作用としてはあり得るかもしれない。(行き詰ってYoutubeに行かれたらそのままお別れになりそうだし)
「気持ちいいサウンド」について
ここでは、なぜ「サウンド」に言及したのかを考える。
プレイヤーの操作に対するゲーム側のリアクションは、「サウンド」と「見た目」が大半になる。ここで「サウンド」が取り上げられる理由としては、「見た目」に変化が起きるのは当たり前なうえ、プレイヤーの操作にかかわらず変化する部分もある、という点が挙げられる。
NPCやアクティブな敵がいる場合を除けば、わざわざ「サウンド」に変化を出す要素はプレイヤーキャラクターしかいない。従って、はっきりとゲーム側のリアクションを伝える手段として、「サウンド」は重要な立場にいると思う。
また、「サウンド」自体にも変化を持たせることで、機械的・予測可能になることを避けることも出来る。
(ここでは恒常的に再生されるBGMを除く)
Puzzler K / unity1weekでパズルを作る
共同制作した「しょくもつれんさ・どうぶつえん」と、個人参加の「こけぴよぱずる」の振り返りと、パズル制作についてのお話。
今回のUnity1week振り返りの話
パズルには一定の面白さが担保されるとはいうものの、ジャンルによる相性はあるとのこと。特に「シミュレーション」と「パズル」に関しては、お互いに矛盾を抱える関係になる模様。
- シミュレーション
少数の条件設定により、多数の未来(状態)に発展する → 発散 - パズル
少数の手段により、ある一つの未来(正解)に辿り着く → 収束
「多数の未来」 ⇔ 「一つの正解」が矛盾してしまう。シミュレーションという世界の中で、パズルの最適解に繋がる条件の設定、予測が困難となる。
この矛盾をそのままにすると、作り手側にとっては作問の難易度が高くなり、解き手側にとっては攻略の難易度が極端に上下してしまう。
問題制作の側面では、エディタの実装を待たずにその時点で使える環境(Excel、ペイント等)でスタートするという話に注目した。
これを可能にするために必要と思われることとして、
- パズルの基本ルールを確実に定義しておく
途中での仕様変更は作成済みの問題にダイレクトアタックしてしまうため。 - 仮ツールでの検証方法を用意しておく
これは、最初にパズルの性質を確認・決定するための段階では不要かもしれない。(後で解説される問題の作り方の3ステップに関連)
パズル作りのあれこれの話
最も印象に残ったのが、次の2つ。
- 解き手に気付いてほしい点を1,2個用意する(スライド30)
- 考え方と難しさの2軸で考える(スライド32)
この観点は、パズル制作の段階でも、レベルデザインの段階でも重要になると感じた。
制作においては、気付いてほしい点を中心に問題数を用意する。
レベルデザインにおいては、それぞれの気付きの種類・難易度で並べてみる。
気付きの種類を確保したり難易度を見極める感覚は、経験知のようなものがありそうで実行のハードルは高いと思う。とはいえ、指標としては大きな意味がありそうだ。
以上となる。
主催者、及び登壇者各位には、貴重な機会・知見を共有いただき、感謝したい。